野鳥の名前  由来 と 語源 安部直哉 4

 な行に入ってだいぶ 駆け足になってきた。なのつく鳥といえば ナベヅル ぐらいしか思いつかない。本のページ数 もちょうど3/4 。

ニュウナイスズメ 入内雀
 頬に黒子(にゅう、にふ)のない雀。
 これは柳田説。
 大言海。
 新嘗が訛ってニュウナイ。新嘗祭 (11月23日)より先に新米を食べる スズメ。
 江戸鳥類大図鑑。
 津軽領内に入内という地名あり。そこで捕獲されたから。

 枕草子には、かしらあかき雀。
 日本書紀には、朱雀。
 それぞれ 記載があるが、それがニュウナイスズメかは定かではない。

ノグチゲラ 野口啄木鳥
 標本提供した人の苗字から。

ノスリ 鵟
 低空飛行で野を擦るように飛ぶから。

ノビタキ 野鶲
 夏鳥。野にいる鶲。

ハイタカ 灰鷹 鷂
 漢語抄に鷂(ヨウ)は波之太賀(はしたか)とある。古名はハシタカ。
 大言海。嘴鋭鷹(ハシトキタカ)から。
 日本釈名。疾き鷹から。
疾(ハシ)早い、すばしっこいの意。

ハシボソガラス 嘴細鴉
 カラス自体の語源は、かあかあとなく鳥(ス)。
 嘴細、嘴太の区別は江戸時代あたりから。
 カラスを表す漢字の音読、鴉(ガ)、烏(ア)は嘴細、嘴太の鳴き声に対応しているのは偶然か。

ハチクマ 八角鷹
 蜂を食べるクマタカみたいなやつ。
 漢字が当てられた当時は、蜂を食べるとは思われていなかったので、尾羽(矢羽の素材)に八の形の斑があったことから、八の斑紋のある角鷹、八角鷹となった。本朝食鑑

ハヤブサ 隼
 速い翼から。古事記、日本書紀にも登場。

バン 鷭
 田の番をしているようだから。護田鳥。
 鷭の名は江戸時代、本朝食鑑にある。美味しいらしい。鴨がいなくなった夏に鷭を食べた、というか献上した。
 
ヒシクイ 菱喰
 それに特化しているわけではないが 菱の実を食べるから。
 ヒシは水草。棘のある硬い殻をもつ。栗ほど甘くはないがおいしいらしい。

ヒドリガモ 緋鳥鴨
 オスの頭部が赤褐色だから。江戸時代にはヒドリとだけ呼ばれていた。後にカモがついた。

ヒバリ 雲雀
 日晴鳥から。

ヒバリシギ 雲雀鷸
 小さく ひばりに似ているから。

ヒヨドリ 鵯
 ひーよひーよと鳴くから。平安時代からそんなように呼ばれていた。ひいどり、比衣土里。のちに江戸時代、比与土里。

ビンズイ 便追
 囀り。ビンビンズイズイ。

フクロウ 梟
 古名は、休留(いいとよ)。
 江戸時代に箋注倭名抄にて布久呂布(ふくろふ)の名が出る。
 由来は 鳴き声説が有力。
 袋のような姿だからとの説もある。

ブッポウソウ 仏法僧
 仏法僧と鳴くと間違えられていたから。

ヘラサギ 箆鷺
 ヘラのようなくちばしをした鷺。
 実は鷺ではなくトキ科ヘラサギ属。

ホオジロ 頬白
 古名はしとど。巫鳥。
 頬が白いからホオジロ。
 頬が赤いやつはホオアカ。
 深い山に住むやつはミヤマホオジロ。深山頬白。

ホシガラス 星鴉
 全身に星のような白斑があるので。
 
ホトトギス 杜鵑 不如帰
 鳴き声から。
 きょっきょ きょきょきょ
 ほっと ほとぎ
 鳥を表す接尾語のス。
ホトトギス。

マガモ 真鴨
 標準的鴨。鴨オブThe鴨。


マガン 真雁
 鳴き声由来のカリ。
 しかし、軍記物に登場した際に語感がよく強く発音できる音読みのガンと呼ばれるようになった。
 
マナヅル 真鶴
 ツルは万葉集ではすべてタヅ(田鶴)と読まれている。
 タヅ。筆者は多くの頭からと推測。
 ツルは、群れが飛び立つ際の様子、たづさう、つれそう、に由来するとしている。
ググールさんは、水流(つる)によるとか、姿から吊るが連想されたなどの説を挙げている。

 タヅのほうも、かわべに立つ鳥で、タヅとなったとの説がある。そこからツルに変化したと言われている。
 立つ鳥→立つる鳥
 タヅ →ツル
こんな感じかもしれませんね。

マミジロ 眉白
 眉が白い。マミジロツグミ。

マミチャジナイ 眉茶鶇
 シナイはツグミの古語。
 シナイは鳴き声、ツィー、シーから。

ミサゴ 鶚 水鷹
 水探(みさご)。水中の魚を捕る生態から。

ミゾゴイ 溝五位
 沢や溝のような水の流れのあるところにいるから。

ミソサザイ 鷦鷯
 鷦鷯(ささき、さざき)。
 ササは細かいもの小さいもの。
 キは鳥、または鳥の接尾語。
 ミソは溝、沢。
 ミゾササキ→ミソサザイ。

ミフウズラ 三斑鶉
 ミは三指(後趾がない)。
 フは斑が特徴的。
 ウズラはうずら。
 しかし、ミフウズラ科。

ミヤコドリ 都鳥
 英名 oister catcher
 大伴宿禰家持が難波京にちなんで、都鳥と詠んだことから。
「船競う 堀江の河の 水際に
   来ゐつつ鳴くは 都鳥かも」
 実はこれには、ユリカモメ説あり。
 江戸時代の北野鞠塢が、古文献のミヤコドリにoister catcher の方をあてた。

 色々調べていると話がややこしくなってきた。
 それもそのはず。江戸時代には都鳥として、都鳥とゆりかもめの2種類が描かれている。区別できていなかったというか 混乱していたというか。
 都鳥は夏鳥、ゆりかもめは冬鳥。文献に出てきたタイミングで判断せざるを得ない。
 
 ミヤコドリそのもの呼称の由来は、ミヤと鳴く鳥。みやっ子鳥。または、その姿が優美でミヤコを思わせるからなどと言われている。
 鳴き声説は、ミヤコドリ、ユリカモメ、さらにウミネコまでまぜこぜの感がある。仕方ないね。

 となると、古代一般のミヤコドリではなく、作品ごと、和歌一首それぞれどちらかという判断をくださなければいけないでしょう。

 筆者は、大伴家持の歌を引用している。この歌は、万葉集で旧暦の3月20日、今で言う4月末に詠まれているので、ミヤコドリの可能性が高いとしている。私としては、微妙なラインと思わざるを得ない。

 ちなみに、伊勢物語の在原業平の歌。

名にしおわば いざ事問はむ 都鳥 
わが想う人は 在りや亡しやと

 この歌は、7月頃に詠まれているので、ミヤコドリなのではといわれる。

 古くからカモメはカモメと呼ばれていたはずですが、「背が黒く、腹は白い、嘴と足の赤い海にいる鳥」とだけの情報であれば、ミヤコドリ、ユリカモメ、ウミネコも含めて混乱するのは仕方がないように思います。今みたいにネットで確認できるわけでも有りません。


ムギマキ 麦蒔
 ヒタキ科。黄鶲に似る。旅鳥。
 秋の麦を蒔く時期に、渡ってくるから。

ムクドリ 椋鳥
 ムクノキに住んでいるから。
 群れになって来る鳥との説もある。

ムナグロ 胸黒
 胸の黒い千鳥。ムナグロ。
 ダイゼンよりも頭部が黒い。ふさふさ。
 背中に黄色い斑あり。

メジロ 目白 繍眼児
 目のまわりが白いから。
 目のまわりに白い刺繍を施した小さい子。

モズ 百舌鳥 鵙 百舌
 色々な鳥の声を真似るから。
 百(もも)舌 ず(鳥の接尾語)
 鳴き声説もある。
 鵙。この漢字はイスカにも当てられる。嘴の形状からでしょう。

ヤツガシラ 戴勝 八頭
 頭部の飾り羽がたくさんあるから。8枚どころか20枚ほどある。
 戴勝。髪(首)飾りを戴いた鳥。漢語では勝は髪飾りをさす。

ヤブサメ 藪雨
 生態と鳴き声の合せ技。藪の中で、小雨のような音で鳴くから。細いシシシシ⋯。
 古語、さめき(動詞)はサラサラと音がすること。

ヤマガラ 山雀
 山に住むカラ類。カラは小鳥の意。
 筆者ははらからのカラと主張する。
 私個人では、混群を形成する鳥たちのうち、エナガやコゲラ、メジロほどの個性のない者たちに付く接尾語と言えるのかもしれないと思う。分類方法として。

ヤマセミ 山翡翠
 山のカワセミ。
 別名鹿の子ショウビン。
 カワセミの古名、ソニ、ソビ(青土)の由来に確たるものはないが、ヤマセミはカワセミありきの命名なのでしょうか。

ヤマドリ 山鳥
 雉とちがって、山に住む鳥だから。
 標高1500m以上とか。
 万葉の昔から夜麻杼里、やまどり。
 杼(ひ、ちょ)はどんぐりを指す。

ユリカモメ 百合鴎
 ユリは古語で後ろ。京都の後ろの若狭湾から来るからと、筆者は言う。
 他にも、イリエカモメ→イリカモメ→ユリカモメ。
 ユリのような白いカモメ。

ヨシガモ 葦鴨
 余儀なき鴨。容姿良き鴨。感じについては命名者がひねったと、作者は考えている。
 私としては、オカヨシガモとの共通点が胸から腹にかけての斑であると思う。その模様をヨシと表現したりしないのかと、ひとり勘ぐっている。証拠はない。
 と、おもったら作者の私説、小斑の美しい憲法染めの創始者、吉岡憲法。江戸時代に流行した憲法染めの吉岡憲法の染物みたいな鴨でヨシガモ。茶染めの方ににている鴨はオカヨシガモとしたという、素敵な説を披露している。
 支持したい。

ヨタカ 夜鷹
 夜行性のタカみたいな鳥。鷹ではない。
 
ライチョウ 雷鳥
 神々しい精霊招来の鳥。
 山の雷は畏怖の対象よね。

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