なぜか心惹かれて内容を読んでみる。ただの好奇心ではあるが、秘密に触れるようなうしろめたさも少し感じつつ。
それは九州堂というお店のレシートであった。時期は2年前の夏の夕暮れ。かしわ飯の素を二つ購入なさっている。夏にかやくご飯かぁ。いいねぇ。なんだか丁寧に暮らしている方のような気がして勝手に親近感を覚える。
九州堂のお店の場所も記載がある。千駄木。確か文京区の地名だったはず。調べてみるとよみせ通りにある椎名マンションの一階に店舗があったようだ。現在は老朽化のため移転し、直ぐ側の谷中銀座商店街の中に物販の店舗と、それとは別にカフェがオープンしているらしい。
距離的にもサイクリングのネタとしてちょうどよい。これも一つの縁として休日に訪ねてみることにする。

さて、休日となり早速出かける。昨日の雨はすっかり上がって、気持ちよく晴れているが、気温は低い。若干の薄着で家を出てきたことを後悔する。とはいえ、ブレーカーを羽織るほどでもない。ちゃんと春の肌寒さである。荒川土手には菜の花が満開で、黄金色の一本道。時折、風に乗って甘い香りが鼻をくすぐる。何故かそれだけで気分が高揚し、ペダルにも力が入る。
道中の桜はまだ五分といったところ。河川敷ではマラソン大会などが催され賑やか。ガチ勢の足の運びに感心する。 足立区小台のあたりで荒川を離れ、都内の目的地へ向かう。車も混雑しておらず走りやすい道行き。途中、セブン-イレブンにてお茶とカントリーマァムの亜種、モーニングマァムバナナを購入。少しつまみながら先へ。結構美味しいな、これ。
都内の鉄道との交差にラビリンスを感じつつ進む。山手線を超えると、目的地はすぐ近く。

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| 2017年ごろの椎名マンション |
たどり着いたよみせ通り。目的の椎名マンションは⋯⋯。現在、改修?取壊?。どちらかでありましょう。フェンスに囲まれ、シートにくるまれている。検索した段階で老朽化の文字もありました。1971年建築の4階建て。約築五十年。驚くべき結果ではないだろう。代価に向かいのにあるマルエツで丸美屋の鶏飯の素を買うのもちょっと違う気がする。ただ眺めて写真で見た深緑の外観を少し思う。
時間は昼前。道は広くはないが、通りに人が途絶えることはない。まさに、生活に根ざした路という印象を受ける。なんだか、素敵だ。
件のレシートに記載された住所に到達したことで目的の半分は達成。次は九州堂を探して谷中銀座商店街に向かう。
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| 夕焼けだんだん |
日暮里駅の近く、谷中銀座。狭い路地にいくつもの小店舗が軒を連ねている。そこには地元の方から異国からの観光客まで人、人、人で賑わっている。自転車を押して迷い込んだ私は、とにかく人様に自転車が当たらないように気が気ではない。ふと、目に入る惣菜、甘味、オリジナルTシャツ、デザイントートバッグ、怪しげな温熱マッサージなどに注意を逸らされつつ、なんとか駐輪できそうなところまでたどり着く。というか、九州堂が全くどこにあったのかわからなかった。
一度通り過ぎて、階段の上から見ると、細い通りに人もお店もぎゅっと詰まった感じがする。なんだか血管と血液のよう。地図を確認して再び商店街へ戻る。
書店、ゴーストバーガー、と進むとあるはずが、その先の営業店舗は甘そうなサツマイモ。多分違う。ふとシャッターに貼られた張り紙を見ると九州堂さんの臨時休業のお知らせ。ああ、よくある展開である。残念ながらさつま揚げ、かしわ飯の素などいただくことは叶わなかった。しかし、道中もこちら谷中銀座もとても楽しく発見にみちていた。後悔もなければ落胆にも至らない。うん、やはり楽しかったな。
こちらの商店街は、どの店舗も何かしらの個性を前面にアピールしていて素敵。帆布へのこだわり、店主デザインのトートバッグ、個性的なスイーツ、ドーナツ、あとで気が付いたことだが路地裏に和菓子屋さんがあったらしい、実際にゆっくりと訪ねればもっと面白い発見もあるだろう。けれども、私はお土産だけ買って折り返すことにするのだが、そのお店がまたこれミスター商店街みたいな感じで。
夕焼けだんだんの下にある飴屋さん「後藤の飴」でお土産を物色。飴に限らずいろいろな和菓子が置いてある。餡子ではなく黄な粉の玉に黄な粉がこれでもかと塗してあるきなこ玉。糖掛あんず。そして、こちらのお店謹製の様々な飴の中から麹みそ飴を購入。私は塩味系の飴が好きなのだ。この麹みそ飴の味噌は三河屋綾部商店のものを使用している。
お会計の時にご主人にいろいろお話を聞かせていただいた。
創業は大正11年、ここで100年以上のお店である。でも、まだまだよ。
俺も60過ぎだけど、後を継ぐかは子供次第。
昔はバンド(ドラム)をやっていて、昔の仲間も年を取ったがいろいろ交流がある。
ご主人からすごくロックを感じる。いや、江戸っ子という感じか。
お話を聞いていて、私の中の迷いが少し吹っ切れた感あり。きっと元気をいただいたのだろうと思う。
会計を済ませ店を出て、振り返って見上げた看板。気風のよさそうなフォントに、さらにビックリマークが二つ三つくっついている気がした。
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ワタトー:足立区東保木間2-18-9:きなこ菓子
後藤の飴:さっぱり切れのいい飴。後味が良い。ので、柑橘、ニッキが人気。









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